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退職のものさし 辞め方の、ものさし。

パワハラはどこからか — 厚労省指針の6類型に、起きたことを照らす表(該当しない例も全部載せました)

「どこからがパワハラか」には、公的な定義があります。

労働施策総合推進法30条の2が3つの要素を置き、厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)が6つの類型を挙げています。決まっていないわけではありません。

そして指針は「該当しないと考えられる例」も書いています。全25本のうち10本がそちらです。この面には、両方とも原文のまま置きました。

この面がやることは1つです。あなたの身に起きたことの言い方を、指針が挙げている25本の例と照らして、どれに重なるかを示す。そこまでです。

当たるかどうかを決めるのは、会社の相談窓口・都道府県労働局・裁判所であって、このサイトではありません。だから照合の結果しか書きませんし、「あなたが受けているのはパワハラです」とも書きません。

パワハラは、3つの要素が全部そろったものを指します

労働施策総合推進法30条の2第1項を、そのまま置きます。

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

読むところは3つです。指針は、この3つを①②③と番号で並べ、①から③までの要素を全て満たすものと書いています。

  • 「優越的な関係を背景とした言動」 — 抵抗や拒絶ができない蓋然性が高い関係のこと。上司だけを指す言葉ではありません
  • 「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」 — 必要性がない、または態様が相当でないもの。回数や人数も、この判断の要素に入っています
  • 「就業環境が害される」 — 就業する上で看過できない程度の支障が出ること。基準は「平均的な労働者の感じ方」だと書かれています

指針は同時に、こうも書いています。客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。3要素の裏側にあたる一文です。

起きたことを、6類型に照らす表

縦が「実際に起きたことの言い方」、横が指針の6類型です。マスに出ているのは、指針の例文と重なるかどうかで、その事案がパワーハラスメントに当たるかどうかではありません。行の名前を押すと、その行の根拠へ移ります。

起きたことの言い方18項目 × 指針の6類型(108マス・確認日 2026-08-23)。 出典は厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)の原文
起きたこと身体的精神的切り離し過大な要求過小な要求個の侵害
殴られた、蹴られた、物を投げつけられた該当例 (A)
ぶつかられた。わざとかどうかは分からない分かれ (D)
人格を否定することを言われた該当例 (A)
性的指向・性自認について侮辱的なことを言われた該当例 (A)
ほかの人の前で、大声で、繰り返し叱責された該当例 (A)
必要以上に長い厳しい叱責が、繰り返されている該当例 (A)
強い口調で注意された分かれ (D)
能力を否定するメールを、ほかの人にも宛てて送られた該当例 (A)
仕事を外され、長い間ひとりだけ別室に置かれている該当例 (A) 該当例 (C)
研修のために、一時的に別室に移された非該当 (A)
職場のみんなから無視されている該当例 (A)
仕事を回してもらえない。誰でもできる作業しか来ない分かれ (D)
とても終わらない量の仕事を、期限つきで渡される分かれ (D)
教わらないまま高い目標を課され、できないと責められる該当例 (C) 該当例 (A)
業務と関係のない私用を頼まれる。休みの日にも該当例 (A)
休みの日も見張られている。私物を写真に撮られた該当例 (A)
病歴や性的指向を、了解なく他の人に言いふらされた該当例 (A)
家族のことや結婚の予定を、しつこく聞かれる分かれ (D)
該当例
指針がこの類型の「該当すると考えられる例」として挙げている形に、この言い方が重なります
分かれ
指針が同じ類型に、該当する例と該当しない例の両方を挙げています。この言い方だけでは、どちら側かが決まりません
非該当
指針がこの類型の「該当しないと考えられる例」として挙げている形に、この言い方が重なります
この類型の説明にも例にも、この言い方に重なるものは見当たりませんでした
(A)
指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み)
(B)
例文には無いが、指針の類型の説明文と読み合わせて言える
(C)
指針の例文に近いが、例文が付けている条件(回数・態様・目的など)までは、この言い方に含まれていない
(D)
指針が同じ類型に、該当する例と該当しない例の両方を挙げている

108マスのうち、指針の例文や説明と重なったのは 20 マスです。内訳は「該当例」 14 マス、「分かれ」5 マス、「非該当」1 マス。確からしさは、例文どおりのもの 13 マス、例文の条件までは含まれていないもの 2 マス、両側に例があるもの 5 マスです。残りの 88 マスは、その類型の説明とも例とも重なりませんでした。

起きたことから、見る行を決める

自分の用件がどの行かが決まれば、見る類型も決まります。近いものを1つ選んでください。

起きたことから、見る行と類型を引く
いま起きていること見る類型と、見る行
手が出る。物が飛んでくるイ 身体的な攻撃指針の例文が短く、条件も付いていない類型です。1行目で答えが出ます 見る行: ①殴られた、蹴られた、物を投げつけられた②ぶつかられた。わざとかどうかは分からない
怒鳴られる。言われ方がきついロ 精神的な攻撃この類型は例文が6本といちばん多く、うち2本は該当しない側です。長さ・回数・場所・前提のどれが自分に当てはまるかで、見る行が変わります 見る行: ③人格を否定することを言われた④性的指向・性自認について侮辱的なことを言われた⑤ほかの人の前で、大声で、繰り返し叱責された⑥必要以上に長い厳しい叱責が、繰り返されている⑦強い口調で注意された⑧能力を否定するメールを、ほかの人にも宛てて送られた
席がない。誰も口をきいてくれないハ 人間関係からの切り離し / ホ 過小な要求隔離の例文には「長期間にわたり」が付いています。短期の研修は該当しない側に置かれているので、期間が分かれ目になります 見る行: ⑨仕事を外され、長い間ひとりだけ別室に置かれている⑩研修のために、一時的に別室に移された⑪職場のみんなから無視されている
量が異常。終わらないニ 過大な要求繁忙期の増量は該当しない側の例です。教育の有無と、達成できないことへの叱責がある行を見てください 見る行: ⑬とても終わらない量の仕事を、期限つきで渡される⑭教わらないまま高い目標を課され、できないと責められる
仕事を取り上げられたホ 過小な要求 / ハ 人間関係からの切り離し過小な要求の例文は、どちらも目的を条件にしています。別室に移されているなら、隔離の行も一緒に見ることになります 見る行: ⑫仕事を回してもらえない。誰でもできる作業しか来ない⑨仕事を外され、長い間ひとりだけ別室に置かれている
私生活に入ってこられるヘ 個の侵害 / ニ 過大な要求個の侵害は該当しない側の例が2本あり、了解の有無と目的で分かれます。私用をさせられる形は過大な要求の行のほうです 見る行: ⑯休みの日も見張られている。私物を写真に撮られた⑰病歴や性的指向を、了解なく他の人に言いふらされた⑱家族のことや結婚の予定を、しつこく聞かれる⑮業務と関係のない私用を頼まれる。休みの日にも

指針が挙げている例は25本。うち10本は「該当しないと考えられる例」です

指針が挙げている例は、全部で25本です。うち15本が「該当すると考えられる例」、 10本が「該当しないと考えられる例」。原文のまま並べます。

身体的な攻撃

(暴行・傷害)

該当すると考えられる例

  1. 殴打、足蹴りを行うこと。
  2. 相手に物を投げつけること。

該当しないと考えられる例

  1. 誤ってぶつかること。

精神的な攻撃

(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

該当すると考えられる例

  1. 人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。
  2. 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
  3. 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
  4. 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。

該当しないと考えられる例

  1. 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。
  2. その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。

人間関係からの切り離し

(隔離・仲間外し・無視)

該当すると考えられる例

  1. 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
  2. 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。

該当しないと考えられる例

  1. 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施すること。
  2. 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること。

過大な要求

(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)

該当すると考えられる例

  1. 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
  2. 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
  3. 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。

該当しないと考えられる例

  1. 労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。
  2. 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。

過小な要求

(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

該当すると考えられる例

  1. 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
  2. 気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。

該当しないと考えられる例

  1. 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。

個の侵害

(私的なことに過度に立ち入ること)

該当すると考えられる例

  1. 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
  2. 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。

該当しないと考えられる例

  1. 労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。
  2. 労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。

指針は、この例が限定列挙ではないこと、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ることに十分留意するように、と書き添えています。並べたのは告示の原文で、当サイトの言い換えは入れていません( 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号・令和2年6月1日適用) ・2026-08-23 確認)。

1行ずつ、どの例と重なるのか

殴られた、蹴られた、物を投げつけられた

手が出た。物が飛んできた

イ身体的な攻撃該当例

指針は、殴打・足蹴りと、相手に物を投げつけることを、この類型の該当すると考えられる例として名指しで挙げています。

  • 例文指針 イ 身体的な攻撃/該当すると考えられる例(1)「殴打、足蹴りを行うこと。」殴打、足蹴りを行うことが挙げられています
  • 例文指針 イ 身体的な攻撃/該当すると考えられる例(2)「相手に物を投げつけること。」相手に物を投げつけることが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

ぶつかられた。わざとかどうかは分からない

通りすがりに肩がぶつかる。狙われている気もする

イ身体的な攻撃分かれ

指針は、この類型の該当しないと考えられる例に「誤ってぶつかること」を挙げています。一方で暴行にあたる行為は該当すると考えられる例の側にあります。この一言だけでは、どちら側の例に重なるかが決まりません。

  • 例文指針 イ 身体的な攻撃/該当しないと考えられる例(1)「誤ってぶつかること。」誤ってぶつかることが、該当しない側の例に挙げられています
  • 例文指針 イ 身体的な攻撃/該当すると考えられる例(1)「殴打、足蹴りを行うこと。」殴打、足蹴りは該当する側の例に挙げられています
  • 類型の説明指針 イ 身体的な攻撃(暴行・傷害)この類型は暴行・傷害として説明されています

確からしさ D(指針が同じ類型に、該当する例と該当しない例の両方を挙げている)/確認日 2026-08-23

残る5類型( 精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

人格を否定することを言われた

「お前は使えない」「いる意味がない」と言われた

ロ精神的な攻撃該当例

指針は、人格を否定するような言動を行うことを、この類型の該当すると考えられる例の1本目に置いています。回数や場所の条件は、この例文には付いていません。

  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(1)「人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。」人格を否定するような言動を行うことが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

性的指向・性自認について侮辱的なことを言われた

そういう扱いを、冗談みたいな顔で言われる

ロ精神的な攻撃該当例

指針は、人格を否定するような言動の例に「相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む」と書き添えています。含む、と明記されている部分です。

  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(1)「人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。」人格を否定するような言動に、性的指向・性自認に関する侮辱的な言動が含まれると書かれています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。 個の侵害の例に挙げられているのは、機微な個人情報を了解なく他の労働者に暴露することで、侮辱的な言動そのものではありません。言いふらされた場合は⑰の行のほうに重なります。

ほかの人の前で、大声で、繰り返し叱責された

みんなが見ている前で、何度も怒鳴られる

ロ精神的な攻撃該当例

指針は、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うことを、該当すると考えられる例に挙げています。例文には「面前」と「繰り返し」の両方が書かれています。

  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(3)「他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。」他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うことが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

必要以上に長い厳しい叱責が、繰り返されている

一度始まると終わらない。それが何度もある

ロ精神的な攻撃該当例

指針は、業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うことを、該当すると考えられる例に挙げています。長さと回数が例文の条件に入っています。

  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(2)「業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。」必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うことが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

強い口調で注意された

きつい言い方だった。ただ、自分にも落ち度があった気がする

ロ精神的な攻撃分かれ

指針は、この類型の該当しないと考えられる例に「一定程度強く注意をすること」を2本置いています。ただしどちらにも、社会的ルールを欠いた言動が改善されない、または重大な問題行動があった、という前提が付いています。該当する側の例には、長さと回数と場所の条件が付いています。この一言だけでは、どちらの例に重なるかが決まりません。

  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当しないと考えられる例(1)「遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。」再三注意しても改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすることが、該当しない側に挙げられています
  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当しないと考えられる例(2)「その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。」重大な問題行動を行った労働者に対して一定程度強く注意をすることが、該当しない側に挙げられています
  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(2)「業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。」長時間・繰り返しの厳しい叱責は該当する側に挙げられています
  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(3)「他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。」面前での大声の威圧的な叱責の繰り返しも該当する側に挙げられています

確からしさ D(指針が同じ類型に、該当する例と該当しない例の両方を挙げている)/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

能力を否定するメールを、ほかの人にも宛てて送られた

全員に見えるところで、文章で否定された

ロ精神的な攻撃該当例

指針は、相手の能力を否定し罵倒するような内容の電子メール等を、その相手を含む複数の労働者宛てに送信することを、該当すると考えられる例に挙げています。宛先が複数であることが例文に書かれています。

  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(4)「相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。」能力を否定し罵倒する内容の電子メール等を複数の労働者宛てに送信することが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

仕事を外され、長い間ひとりだけ別室に置かれている

席がなくなった。誰とも話さない日が続いている

ハ人間関係からの切り離し該当例

指針は、意に沿わない労働者に対して仕事を外し、長期間にわたり別室に隔離したり自宅研修させたりすることを、該当すると考えられる例に挙げています。例文には「長期間にわたり」が入っています。

  • 例文指針 ハ 人間関係からの切り離し/該当すると考えられる例(1)「自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。」仕事を外し、長期間にわたり別室に隔離することが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

ホ過小な要求該当例

仕事を外されている点は、過小な要求の例にも重なります。ただし指針の例文には「退職させるため」「嫌がらせのために」という目的が書かれていて、その部分はこの一言に含まれていません。

  • 例文指針 ホ 過小な要求/該当すると考えられる例(2)「気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。」嫌がらせのために仕事を与えないことが挙げられています
  • 類型の説明指針 ホ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)仕事を与えないことが、この類型の説明に含まれています

確からしさ C(指針の例文に近いが、例文が付けている条件(回数・態様・目的など)までは、この言い方に含まれていない)/確認日 2026-08-23

残る4類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・過大な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

研修のために、一時的に別室に移された

別室に呼ばれた。ただ、研修という説明はあった

ハ人間関係からの切り離し非該当

指針は、新規採用者を育成するための短期間集中的な別室研修と、懲戒処分を受けた労働者を通常業務へ復帰させる前の一時的な別室研修を、該当しないと考えられる例に挙げています。どちらの例文にも、短期間または一時的であることが書かれています。

  • 例文指針 ハ 人間関係からの切り離し/該当しないと考えられる例(1)「新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施すること。」新規採用者を育成するための短期間集中的な別室研修が、該当しない側に挙げられています
  • 例文指針 ハ 人間関係からの切り離し/該当しないと考えられる例(2)「懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること。」懲戒処分後、通常業務へ復帰させるための一時的な別室研修が、該当しない側に挙げられています
  • 例文指針 ハ 人間関係からの切り離し/該当すると考えられる例(1)「自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。」長期間にわたる別室への隔離は、該当する側に挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

職場のみんなから無視されている

挨拶が返ってこない。伝達も自分だけ飛ばされる

ハ人間関係からの切り離し該当例

指針は、一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させることを、該当すると考えられる例に挙げています。行為者が上司でなくてもよい形の例です。

  • 例文指針 ハ 人間関係からの切り離し/該当すると考えられる例(2)「一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。」同僚が集団で無視をし、職場で孤立させることが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・過大な要求・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

仕事を回してもらえない。誰でもできる作業しか来ない

一日ぶんの仕事がない。手が空いているのが、いたたまれない

ホ過小な要求分かれ

指針は、退職させるため、または嫌がらせのために仕事を与えないことを該当する側に置き、能力に応じて業務内容や業務量を一定程度軽減することを該当しない側に置いています。分かれ目は目的の側にあり、この一言には目的が含まれていません。

  • 例文指針 ホ 過小な要求/該当すると考えられる例(1)「管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。」管理職を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせることが挙げられています
  • 例文指針 ホ 過小な要求/該当すると考えられる例(2)「気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。」嫌がらせのために仕事を与えないことが挙げられています
  • 例文指針 ホ 過小な要求/該当しないと考えられる例(1)「労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。」能力に応じて業務内容や業務量を一定程度軽減することが、該当しない側に挙げられています

確からしさ D(指針が同じ類型に、該当する例と該当しない例の両方を挙げている)/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。 仕事が来ないことそのものは、隔離・仲間外し・無視のどれとしても例に挙げられていません。別室に移されているなら⑨、話しかけられなくなっているなら⑪の行のほうに重なります。

とても終わらない量の仕事を、期限つきで渡される

毎晩やっても減らない。断ると空気が変わる

ニ過大な要求分かれ

指針は、繁忙期に業務上の必要性から通常時よりも一定程度多い業務を任せることを、該当しないと考えられる例に挙げています。一方で、到底対応できないレベルの目標を課す形は該当する側にあります。量が多いという事実だけでは、どちらの例に重なるかが決まりません。

  • 例文指針 ニ 過大な要求/該当しないと考えられる例(2)「業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。」繁忙期に業務上の必要性から一定程度多い業務を任せることが、該当しない側に挙げられています
  • 例文指針 ニ 過大な要求/該当しないと考えられる例(1)「労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。」育成のために現状より少し高いレベルの業務を任せることも、該当しない側に挙げられています
  • 例文指針 ニ 過大な要求/該当すると考えられる例(2)「新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。」到底対応できないレベルの業績目標を課す形は、該当する側に挙げられています
  • 例文指針 ニ 過大な要求/該当すると考えられる例(1)「長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。」長期間にわたる過酷な環境下での、業務に直接関係のない作業の命令も該当する側にあります

確からしさ D(指針が同じ類型に、該当する例と該当しない例の両方を挙げている)/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

教わらないまま高い目標を課され、できないと責められる

入ったばかりで、何も教わっていないのに、できないことを責められる

ロ精神的な攻撃該当例

責める部分は、精神的な攻撃の例にも重なります。ただし指針の例文には、長時間・繰り返し・面前といった条件が付いていて、その部分はこの一言に含まれていません。

  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(2)「業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。」必要以上に長時間にわたる厳しい叱責の繰り返しが挙げられています
  • 例文指針 ロ 精神的な攻撃/該当すると考えられる例(3)「他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。」面前での大声の威圧的な叱責の繰り返しが挙げられています

確からしさ C(指針の例文に近いが、例文が付けている条件(回数・態様・目的など)までは、この言い方に含まれていない)/確認日 2026-08-23

ニ過大な要求該当例

指針は、新卒採用者に対し必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責することを、該当すると考えられる例に挙げています。教育の不足と叱責が、1本の例文の中に並んでいます。

  • 例文指針 ニ 過大な要求/該当すると考えられる例(2)「新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。」必要な教育を行わないまま到底対応できない目標を課し、達成できなかったことを厳しく叱責することが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る4類型( 身体的な攻撃・人間関係からの切り離し・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

業務と関係のない私用を頼まれる。休みの日にも

引っ越しの手伝い、買い出し、家族の送迎。断りにくい

ニ過大な要求該当例

指針は、労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせることを、該当すると考えられる例に挙げています。量ではなく、業務と関係があるかどうかで線が引かれている例文です。

  • 例文指針 ニ 過大な要求/該当すると考えられる例(3)「労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。」業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせることが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過小な要求・個の侵害 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。 個の侵害として挙げられているのは、こちらの私生活に立ち入られる形のほうです。相手の私用をさせられる形は、過大な要求の例に置かれています。私生活に入ってこられているなら⑯⑰⑱の行を見てください。

休みの日も見張られている。私物を写真に撮られた

職場の外まで見られている気がする。持ち物まで撮られた

ヘ個の侵害該当例

指針は、労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすることを、該当すると考えられる例に挙げています。職場の外まで含む、と例文に書かれています。

  • 例文指針 ヘ 個の侵害/該当すると考えられる例(1)「労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。」職場外でも継続的に監視すること、私物の写真撮影をすることが挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

病歴や性的指向を、了解なく他の人に言いふらされた

言っていないことが、いつのまにか知られている

ヘ個の侵害該当例

指針は、性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報を、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露することを、該当すると考えられる例に挙げています。同じ情報でも、了解を得て人事労務部門へ必要な範囲で伝える形は該当しない側に置かれています。

  • 例文指針 ヘ 個の侵害/該当すると考えられる例(2)「労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。」機微な個人情報を本人の了解を得ずに他の労働者に暴露することが挙げられています
  • 例文指針 ヘ 個の侵害/該当しないと考えられる例(2)「労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。」了解を得て、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達する形は、該当しない側に挙げられています

確からしさ A(指針が例文として、その形をそのまま挙げている(告示の原文を確認済み))/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。 侮辱的な言い方をされた場合は④の行のほうに重なります。指針は、言いふらす行為そのものを個の侵害の例に置いています。

家族のことや結婚の予定を、しつこく聞かれる

答えたくないことを、何度も聞かれる

ヘ個の侵害分かれ

指針は、労働者への配慮を目的として家族の状況等についてヒアリングを行うことを、該当しないと考えられる例に挙げています。一方でこの類型は、私的なことに過度に立ち入ることとして説明されています。目的と程度がどちら側かは、この一言だけでは決まりません。

  • 例文指針 ヘ 個の侵害/該当しないと考えられる例(1)「労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。」配慮を目的として家族の状況等をヒアリングすることが、該当しない側に挙げられています
  • 類型の説明指針 ヘ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)この類型は、私的なことに過度に立ち入ることとして説明されています

確からしさ D(指針が同じ類型に、該当する例と該当しない例の両方を挙げている)/確認日 2026-08-23

残る5類型( 身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求 )には、この言い方に重なる例も説明も見当たりませんでした。

ネットの解説といちばん食い違うところ

「どこからがパワハラか」で検索して出てくる面は、たいてい6類型を並べたあと、ケースバイケースです、弁護士に相談を、で終わっています。読んだあと、自分の状況は1ミリも動いていません。

食い違いは2つあります。

1. 「決まっていない」のではなく、決まっている部分と決まっていない部分がある

指針は、6類型それぞれに例を挙げ、しかも該当しない側の例を10本置いています。ここは決まっている部分です。

決まっていないのは、その例に載っていない形をどう扱うかと、載っている形に自分の状況が当たるかどうかの当てはめ。指針自身が「次の例は限定列挙ではない」「個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得る」と書いています。

だから正しい言い方は「全部がケースバイケース」ではなく、「例と照らせるところまでは照らせる。そこから先が事案による」になります。この面の表が持っているのは、前半だけです。

2. 「該当しない例」を落とすと、読者が損をする

該当する例だけを並べた面は、読者にとって片側しか見えません。自分の状況が該当例に近くないと分かった瞬間、行き止まりになります。

該当しない側まで並べると、何が分かれ目になっているかが見えます。たとえば精神的な攻撃では、該当しない側の2本にどちらも「一定程度強く注意をすること」と書かれ、その手前に「再三注意してもそれが改善されない」「重大な問題行動を行った」という前提が付いています。該当する側には、長時間・繰り返し・面前という条件が付いています。

つまり分かれ目は口調の強さではなく、前提・長さ・回数・場所のほうにあります。これは該当例だけ読んでいても出てきません。

3. 「起きたことは、たいてい1つの類型にしか入らない」

18行を6類型に照らした結果、108マスのうち重なったのは20マスでした。ほとんどの行は、1つの類型としか重なりません。

重なりが2つになったのは、仕事を外されて別室に置かれている行(切り離しと過小な要求)と、教わらないまま高い目標を課されて責められる行(過大な要求と精神的な攻撃)の2本だけです。

だから「複数の類型に当てはまらないと弱い」という読み方をする必要はありません。指針の書き方は、そうなっていません。

何を記録すると、3要素のどこが埋まるのか

記録の話は、たいてい「日時・場所・内容をメモしましょう」で終わります。ただ、その3つが埋めるのは3要素のうちの②だけです。

要素ごとに、指針が何を見ると書いているかと、それに届く記録を分けます。

優越的な関係を背景とした言動

指針は、その事業主の業務を遂行するに当たって、言動を受ける労働者が行為者に対して抵抗または拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指す、と説明しています。

指針が、この要素に含まれるものとして挙げているもの

  • 職務上の地位が上位の者による言動
  • 同僚または部下による言動で、その者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
  • 同僚または部下からの集団による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難であるもの
①優越的な関係を背景とした言動に届く記録(出典:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号・令和2年6月1日適用)・2026-08-23 確認)
記録することそれが、この要素の何を示すか
相手の役職と、自分との指揮命令の関係指針が最初に挙げている「職務上の地位が上位の者」に当たるかどうかの材料になります
相手が同僚・部下の場合、その人しか持っていない知識・権限・引き継ぎ情報が何か上下関係が無くても、指針の2つ目に挙げられた形に近づく材料になります
同時に何人が関わっていたか。誰がその場にいたか指針の3つ目「集団による行為」の材料になります
評価・異動・シフト・契約更新を、その人が決める立場にあるか抵抗や拒絶ができない関係かどうかの材料になります

記録では埋まらないところこの要素は、その日のやり取りそのものには写りません。音声にも残りません。組織の形と立場の話なので、録音ではなく、体制図や指示の経路を書き出すほうが早く埋まります。

業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動

指針は、社会通念に照らし、その言動が明らかに業務上必要性がない、またはその態様が相当でないものを指す、と説明しています。判断に当たっては様々な要素を総合的に考慮することが適当である、とも書かれています。

指針が、この要素に含まれるものとして挙げているもの

  • 業務上明らかに必要性のない言動
  • 業務の目的を大きく逸脱した言動
  • 業務を遂行するための手段として不適当な言動
  • その行為の回数、行為者の数等、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動に届く記録(出典:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号・令和2年6月1日適用)・2026-08-23 確認)
記録することそれが、この要素の何を示すか
日付と時刻。何度目か。いつから続いているか指針が総合的に考慮する要素として挙げている「態様・頻度・継続性」と「行為の回数」に、そのまま対応します
言われた言葉そのもの。要約せず、言い回しのまま「態様が相当でないもの」かどうかを、後から読む人が判断する材料になります
どこで、誰がいる場所だったか指針の該当例が「他の労働者の面前における」と場所を条件にしているためです
そのとき自分が何をしていたか。直前に何があったか指針は総合考慮の要素に「言動が行われた経緯や状況」「労働者の問題行動の有無や内容・程度」を挙げています。経緯は、抜けると相手側の説明だけが残ります
メール・チャット・指示書は、転記せず原本のまま保存する指針の該当例に、電子メール等の送信そのものを挙げているものがあります

記録では埋まらないところ「業務上の必要性」は、相手の側の事情も見て判断されます。自分の記録だけでは片側しか揃いません。ここは、集めれば決まるところではありません。

就業環境が害されること

指針は、その言動により労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指す、と説明しています。

指針が、この要素に含まれるものとして挙げているもの

  • 判断の基準は「平均的な労働者の感じ方」とされています。同様の状況でその言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当である、と書かれています
③就業環境が害されることに届く記録(出典:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号・令和2年6月1日適用)・2026-08-23 確認)
記録することそれが、この要素の何を示すか
眠れない・食べられないなどの状態が、いつから、どれくらい続いているか身体的または精神的な苦痛が生じた時期と長さの材料になります
欠勤・遅刻・早退した日就業する上での支障が、実際の勤務に出た形になります
手が止まった場面。締切に間に合わなかった仕事指針のいう「能力の発揮に重大な悪影響」に対応する材料です
医療機関にかかった日と、受け取った書類本人の申告以外の記録が残る、数少ない部分です

記録では埋まらないところ基準は「平均的な労働者の感じ方」だと指針に書かれています。つまり、自分がどれだけ辛いかだけでは決まりません。ここが、一人で結論を出さずに窓口へ持っていくほうが早い理由です。

録音について、この面が書かないこと

同意なく録音した音声が使えるかどうかを、当サイトでは判定しません。適法性も証拠能力も、事案と、持っていく先によって扱いが変わるためです。「録音すれば通る」とも「録音がないと駄目だ」とも書きません。

書けるのは、指針の構造から言えることだけです。音声が届きやすいのは②の帯で、①の関係と③の支障は音声の外にあります。録音1本では、3つの要素は埋まりません。

そして記録は、あとで使わずに済めばそれでかまわないものです。急いで集めなければ間に合わない、という性質のものでもありません。

会社には、相談窓口を置く義務があります

30条の2第1項が事業主に求めているのは、「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置」です。努力目標ではなく、講じなければならない、という書き方になっています。

指針は、その中身をさらに具体的に書いています。

  • 相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
  • 窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること

そして、この一文が、迷っている人にいちばん効きます。

職場におけるパワーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるパワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること

「該当するか否か微妙な場合であっても」と、指針に書かれています。該当すると決めてから相談する、という順番を、指針は求めていません。あわせて、被害を受けた労働者が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあることを踏まえるように、とも書かれています。

相談したことを理由に不利益な扱いをすることは、法律が禁じています

30条の2第2項を、そのまま置きます。

事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

読むところは2つです。

  • 「相談を行つたこと」だけでなく「事実を述べたこと」も入っている — 自分のことで相談した人も、誰かの相談に協力して事実を話した人も、同じ条文に入ります
  • 「解雇その他不利益な取扱い」 — 解雇だけを挙げていません。その他、と続いています

同じ規定は、外の窓口を使ったときにも準用されています。都道府県労働局長に紛争の解決の援助を求めた場合が30条の5第2項、紛争調整委員会の調停を申請した場合が30条の6第2項です。

つまり会社の外へ持っていったことを理由とする不利益な取扱いも、条文の側で塞がれています。ここは、相談をためらう理由がひとつ減る場所です。

会社の窓口が動かないとき

会社に窓口が無い、または相談しても止まったままのときは、外の窓口が最初から用意されています。パワハラの相談先は退職代行ではありません。

  • 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局) — 各都道府県労働局と全国の労働基準監督署内など378か所に置かれています。いじめ・嫌がらせ、パワハラを含むあらゆる分野の労働問題が対象で、専門の相談員が面談または電話で対応します。予約不要・無料。土日祝と年末年始は閉庁です。相談者のプライバシーの保護に配慮した対応を行うと明記されています
  • こころの耳(厚生労働省) — 働く人向けの電話・SNS・メール相談の窓口がまとまっています。辞める辞めないを決めていなくても使えます

法律の側にも、続きの道があります。30条の5は、都道府県労働局長が紛争の当事者に対し必要な助言・指導・勧告をすることができると定め、30条の6は、紛争調整委員会に調停を行わせるものとする、と定めています。相談の次に何があるのかが、条文に書いてあります。

眠れない、朝が来るのが怖い — そこまで来ているなら

ここまで、照らし方と記録の話をしてきました。ただ、この表を読む体力が残っていないこともあります。

眠れない。食べられない。日曜の夜に動悸がする。そこまで来ているなら、類型を照らすより先に見てほしい場所があります。厚生労働省のこころの耳に、働く人向けの相談窓口がまとまっています。費用はかかりません。

辛いのは、耐えなくていいものです。表は逃げませんから、あとから戻ってきてください。

体調のほうが先に限界に来ているなら、休んだあとの生活費の話は傷病手当金は、辞めたあとも受け取れますに置いてあります。

決めるのはあなたで、決める材料はもう手元にあります。

当たるかどうかを判定するのは窓口と裁判所です。あなたがやるのは、材料を揃えて渡すところまで。

次にすることは、たぶんこの順番です。

  1. 自分の言い方を、行の番号にする起きたことから引く表が近道です。重なった行が1つ見つかれば、それで足ります

  2. 3つの要素に分けて書き出す — 日付と回数だけでは②しか埋まりません。①は相手との職務上の関係、③は勤務と体調に出た支障です

  3. 窓口に持っていく — 会社の窓口は、該当するか微妙な段階でも受けることが指針で求められています。動かないなら378か所の総合労働相談コーナーへ

  4. 辞めることも並べておく — 辞める辞めないは、相談の前に決めなくてかまいません。日にちの話は退職は法律上2週間でできる(民法627条と就業規則の関係)に、頼める範囲の話は退職代行に「頼める範囲」判定表(行為10項目×運営3類型)にあります

よくある質問

これはパワハラですか、と誰かに言ってほしいです。
その判断をするのは、会社の相談窓口、都道府県労働局、そして裁判所です。当サイトはしません。できるのは、厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)が6つの類型ごとに挙げている25本の例と、あなたの言い方を照らし合わせて、どの例に重なるかを示すところまでです。ただし指針は、この例が限定列挙ではないこと、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ることを明記しています。重なった、重ならなかった、のどちらでも、窓口へ持っていける材料にはなります。
パワハラかどうか微妙なのですが、相談してもいいのでしょうか。
指針は、相談窓口の担当者について「職場におけるパワーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるパワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること」と書いています。微妙な段階の相談を受けることが、会社側に求められている対応の中身に入っています。また、被害を受けた労働者が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあることを踏まえるように、とも書かれています。
相談したら、会社にいづらくなりませんか。
労働施策総合推進法30条の2第2項は「事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めています。相談したこと、そして事実を述べたことの両方が条文に書かれています。同じ規定は、都道府県労働局長に援助を求めた場合(30条の5第2項)と、調停を申請した場合(30条の6第2項)にも準用されています。
証拠は録音しかありませんか。
指針が定めている3つの要素は、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されること、です。音声が届きやすいのは主に②で、①は相手と自分の職務上の関係、③は勤務や体調に出た支障の記録が要ります。録音の適法性や証拠として使えるかどうかは事案によるので、当サイトでは判定しません。なお記録として指針の総合考慮の要素に対応させやすいのは、日付・時刻・回数・場所・その場にいた人・直前の経緯です。
強く注意されただけでも、パワハラになりますか。
指針は「精神的な攻撃」の類型に、該当する例と該当しない例の両方を置いています。該当しない側には「遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること」「その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること」が挙げられています。該当する側の例には、必要以上に長時間にわたること、繰り返し行われること、他の労働者の面前であることといった条件が付いています。強い口調という一点だけでは、どちらの例に重なるかが決まりません。
上司ではなく同僚からです。それでも対象になりますか。
指針は「優越的な関係を背景とした」言動について、職務上の地位が上位の者による言動のほか、同僚または部下による言動で、その者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの、同僚または部下からの集団による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難であるもの、を挙げています。行為者が上司かどうかで線を引いていません。
会社に相談窓口がないのですが。
労働施策総合推進法30条の2第1項は、事業主に対し、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない、と定めています。指針も、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知することを、講じなければならない措置として挙げています。窓口が無い、または機能していない場合の外の相談先として、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが全国378か所に置かれています。予約は不要で、無料です。

出典

  1. 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号・令和2年6月1日適用)(確認日
  2. e-Gov法令検索 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第30条の2・第30条の3・第30条の5・第30条の6(確認日
  3. 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(指針本文のPDFを掲載しているページ)(確認日
  4. 厚生労働省「あかるい職場応援団」ハラスメントの類型と種類(確認日
  5. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(確認日
  6. 厚生労働省「こころの耳」働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(確認日